ぐれっぐのことば日記・改

引越ししてみました

いきさつ


先週の木曜日
久しぶりにNYUのオフィスで仕事をしたところ、電話がかかってきて「某会社のHR(人事課)の〜ですが、あなたのホームページにある履歴書をみました」とのこと。話をしつつしばらくは、ヘッドハンティングの会社からかかってきたものと思っていた。聞いてみると、どうやら自分の分野に近いことをやっているらしい。だが、言語学Ph.D.を取った人がエンジニアとして働いているとのことである。

へえ、ということで相手はその場で面接の日取りも決めてしまいかねない勢いであったが、ここはとりあえずjob descriptionを送ってもらうことにし、数日後に応募するかどうかを決める由を伝え電話を切る。じっくり読んでみるとどうやら自分の研究分野そのものであるらしいことが分かる。



金曜日
フォローアップのメールまで来る。「何か質問はありませんか?」



土曜日
以前は、姫の友人に某会社にコネの強いヘッドハンティングの会社の人を紹介してもらい、自分のバックグランドにマッチする職を探したいという方向で話を進めていたので、今回の話をどうしようか話し合ってみるも、自分が研究してきたものに近いというのはとりあえずいいことであるので、面接に出向き会社の方針などを聞いてみるのもいいかもしれないということで合意。



日曜日
自分のホームページにある履歴書をチェックしてみると数ヶ月前のものであることが判明。急いでアップデートする。



月曜日
HRの人に応募する旨を伝える。何でこの時期に募集をかけているのか、この国の中だけではなく世界中のあちこちにオフィスがあるようだが(本社はコネチカット州)、配置転換などはよくあるのかなど(半分儀礼上)質問を送ってみる。

メールの返事によると「そのような質問にはエンジニアグループのグループリーダの方が詳しく答えられると思いますので、そちらのほうに転送しておきます」とのこと。

で、午後3時くらいにグループリーダから電話がかかってくる。
開口一番が、「旅行なんかはほとんどないと考えていいよ。家からNYCのオフィスにまでは毎日通ってもらわなければいけないけどね。ははは」、先が思いやられる。。。

話を聞いているうちに「ふーん、興味があるなら一度オフィスに来てごらんよ。デモシステムを見せてあげよう。うちのメンバーとも話をしてみたらいいよ」と嬉しいことばをいただく。ぐうぐるの某氏のときの「オフィスにきても何もないよ。デモを見たかったらぐうぐるラボを見ておくれ」に比べると天地の差だ。

まあ、2時間あれば十分だろうと思い、次の日のNYUでのミーティング前にアポを入れる。



火曜日
グループリーダに会うなり、「とりあえず、テストをするからね。その後でメンバーにデモを見せてもらって話をしよう。」といきなり本ちゃんの面接が始まっていた。心の準備もできていなかったので、「今日はこんなことになるとは知らなくて、12時にはここを出なければいけないんだけどそれまでに終わりますかね?」と聞くと、「ああ、このテストは実力を見るためのものだからね。分からないところは飛ばしてもいいし。できない人ほど時間を使うんだよ(どき!)。まあ、君なら大丈夫!」と訳の分からんプレッシャーを与えられ、分厚い冊子を渡される。

3,4つのプログラミング言語の問題もさながら、一番痛かったのはデータベースの基礎知識が出ていたことである。(例:primary keyとforeign keyの違いを述べよ)学部のときの記憶は遠い彼方にあり呼び起こすことなど時間がいくらあっても不可能に近い。

40分位したところでグループリーダ現る。「あまり時間ないからね。これから面接しよう」
ううう、3ページくらいしか答えが書けていないのに。。。

グループリーダ+エンジニア2人 vs 私
で面接。あなたのPh.D. researchは何をしたのですか?という質問に必死で説明するもいささか食い付きがよろしくない。グループリーダから「さっきから言っている『学習』というのはユーザが学習するわけ?」との質問。機械学習を前提に話をしていたのだが、ちと遠いところにきてしまったことを感じる。いつものことだが、緊張していたこともあって説明に苦労する。そしてこれもいつものことだが、グループリーダのような人よりは自分の同僚になるようなレベルの人の方に自分の研究はうけるようだ。

デモを見せてもらうも、正規表現でびっちり書き込まれたルールセットを見せられ「言語学出身でもこんなにできるんだ」とかなり落ち込む。突っ込みどころがそこそこあって面白くはあった。時間もなくなり会社を出なければならなくなったが、グループリーダは3ページ埋められたテストに目を通し、「家にもって帰ってやっていいよ、次にもう一回来てもらってその結果も見ながら、今日時間がなくてできなかった話をしよう」とのおことばをいただく。そのときのグループリーダの表情には痛いものがあった。多少の哀れみも入っていたかも。

ということで、宿題をいただきました。
週の後半は個人的に忙しくなるので次の日の朝にアポを取る。

準備不足だったのは自分のせいではないが、もっとうまくアピールできたはずだと終日落ち込むが、そんな暇はなく家に埋もれていたデータベースの本を引き引き問題をひたすら解く。


水曜日
朝、家を出る前に自分の研究成果の簡易版デモシステムを動かせるようにしておく。昨日の挽回ということで。

まずはグループリーダに会い、宿題を渡す。"Now, I give you my homework."というと妙に受けた。

今日は研究職とエンジニアとの違いについて。よく言われるのが、この手のエンジニアの職種に応募するときに自分は研究ができるのだというというのを前面に押し出しすぎて失敗することが多いということ。自分はもともと学生だったときから、「エンドユーザの顔が見たいなあ」と思い(研究が詰まっていたり、ペーパー偏重主義にいやになって)やめたくなったことも1度や2度のことではないのでその辺りは問題がない。「エンドユーザの顔が見れて、必要とされていることを実感できるのがいいんです」などときれい事も言ってみたりする。

その後、グループリーダがエンジニアに求めるもの(チームワークとか、新しいものを常に学び続ける姿勢とか)を話した後で、「それで、こっちとしては君に来てもらいたい考えなのですが」、はや!実際に会ってから、まだ2日目なのですが。。

グループリーダ曰く、「君の宿題はとてもよくできているね。特にコーディングスタイルが気に入った。」

take-home-exam 万歳!!
正規表現」を勉強しておいてよかった。。。(涙)


こちらとしても、自分のやってきたことでチームに貢献できるし、自分が新しいことを学ぶ会社側のサポートもそれができる雰囲気も用意されているし、一般的な意味での職場の雰囲気もいい感じであるので、そこで承諾。



最初のコンタクト(しかも向こうから)から6日間で話がまとまってしまった!


自分が今関わっているプロジェクトのこともあり、1月から働けるということは最初に言っておいたのだが、会社側としてはすぐにでもはじめて欲しいということで、1月まではトレーニングも兼ねてインターンかアルバイトといった形ではじめる事になった。

現在、スケジュールなどを調整中。